古き良きお屋敷「小林家」の見学 〜後編〜
滞在5日目、前川です。
「小林家」レポの続きをお送りします。
この邸宅には明治時代からの調度品がそのまま残されているわけですが、わたしが一番感動したものは大きな一枚の布でした。
この鮮やかな色面は、まるでコラージュのように複数の布が縫い合わされています。
その名も「千枚の布」。
これは、2代目の妻・チノさんが大切にしていた着物でできているそうです。
小林酒造は2代目の頃が最も栄えていたそうなのですが、チノさんは贅沢をしませんでした。着物に穴があいたり破れたりしても、丁寧に繕って大事に着続けたといいます。それでもだめになってしまったものは、まだ使える部分を切って、直し物に使えるように取っておく。
今の時代はなんでもすぐに捨ててしまうので、その慎ましい心には考えさせられるものがあります。
それから30年が過ぎ、この布切れが家の奥から見つかりました。そして嫁である榮子さんがつなぎあわせ、今の形になったのだといいます。
これらの話は、そのまた娘である「守りびと」・千栄子さんに解説していただきました。
おばあさまの精神と大切にしていたものが受け継がれていく様に、心を打たれた一日でした。