古き良きお屋敷「小林家」の見学 〜後編〜
滞在5日目、前川です。
「小林家」レポの続きをお送りします。
この邸宅には明治時代からの調度品がそのまま残されているわけですが、わたしが一番感動したものは大きな一枚の布でした。
この鮮やかな色面は、まるでコラージュのように複数の布が縫い合わされています。
その名も「千枚の布」。
これは、2代目の妻・チノさんが大切にしていた着物でできているそうです。
小林酒造は2代目の頃が最も栄えていたそうなのですが、チノさんは贅沢をしませんでした。着物に穴があいたり破れたりしても、丁寧に繕って大事に着続けたといいます。それでもだめになってしまったものは、まだ使える部分を切って、直し物に使えるように取っておく。
今の時代はなんでもすぐに捨ててしまうので、その慎ましい心には考えさせられるものがあります。
それから30年が過ぎ、この布切れが家の奥から見つかりました。そして嫁である榮子さんがつなぎあわせ、今の形になったのだといいます。
これらの話は、そのまた娘である「守りびと」・千栄子さんに解説していただきました。
おばあさまの精神と大切にしていたものが受け継がれていく様に、心を打たれた一日でした。
UVプリンターを使ってトートバッグをつくる 〜テスト印刷編〜
滞在4日目、前川です。
前回の続き。
UVプリンターをつかった印刷、いよいよ実践です。
トートバッグは白・ワイン・黒(本当は限りなく黒に近い紺色ですが・・・)の3色をつくる予定。
デザインは白インク印刷をする前提なので、
この中で白インクの乗りが一番わかりやすい布からテストします。
そう、黒色です。
まずはこのロゴをテスト印刷してみます。
白インクで印刷したい部分は、イラストレーターのスウォッチで特色にしなければなりません。
ところが、わたしのデザインデータはPhotoshopで作られたラスターデータ。
そこで、Illustratorの画像トレースをつかってベクター化しました。
しきい値を調整してできる限りオリジナルに近い精細なパスにします。
パスを指定の特色にしたら、いざ印刷。
ところが、結果はこうなりました。
う〜ん、なんか違くない?
先ほどのデータは一見すると問題ないようですが、特色を使っていない白ベタのパスがありました。これのせいでいたるところが塗りつぶしに…
余分なパスを削除して再チャレンジすると、画面通りに印刷されました。
でも、インクが薄いのが気になりました。
UVインクって意外とサラサラした仕上がりになるんですね。
てっきりUVレジンみたいにぷりっと厚盛りになるんだと思ってました。
インクが薄かったので、もう一度上から印刷してみます。
色々試した結果がこちら。
1段目が、白インク1回 + CMYKインク1回
2段目が、白インク1回
3段目が、白インク2回 の結果です。
う~ん、どうしても布の色が透けてしまう。
白インクは最低でも2回は重ねた方がよさそうです。
次回、本番データで実践です。
***あとで知ったことですが、Roland社のUVインクは半透明だそうです。***
(不透明なインクを製造しているメーカーもあるとのこと。)
布はインクをよく吸収してしまうため、より一層色が薄くなるようです。
UVプリンターを使ってトートバッグをつくる 〜裁断編〜
今日で滞在3日目。前川です。
いよいよトートバッグの制作に入りました。
まずは方眼紙を使って型紙づくり。
自分の手持ちのバッグをもとに形を決めました。
A4がすっぽりおさまるサイズです。
MDFボードを並べて、でっかいアイロン台を用意。
バッグを作るのにアイロン台を忘れたけど、100均のおかげで助かりました(小声)。
アイロンをかけたら型紙を重ね、おもりになるものを置きます。
チャコ(チョーク)を使って印をつけます。
描いた通りに裁断するのは、UVプリンターでの印刷が済んでからにします。
なぜなら、UVプリンターを使うのははじめてで、印刷位置がズレる可能性があるから。そのため、まずはひとまわりもふた回りも大きく粗切りします。
さて、これでようやく布の用意ができました。
次回、いよいよ印刷の実践です。
古き良きお屋敷「小林家」の見学 〜前編〜
こんばんは。前川です。
今日は役場の方達と一緒に、「小林酒造」創業者の生家である、明治時代に建築された「小林家」を見学してきました。
今回、観光でいちばん楽しみにしていたのが小林家の観覧でした。
なぜなら、わたしは20代女子にしてはめずらしい? 大の「古物好き」だからです。
日本なら明治モダン・大正ロマン・昭和レトロ、ヨーロッパのアンティークやヴィンテージ、ブロカント。
それぞれ味わい深くて好きなため、美術展に足を運んだり、少しずつ古道具屋で収集なんかもしています。
そんな折に「有形文化財となったお屋敷を見学できるツアーがある」と聞き、
思わず飛びついてしまいました。
わたしが参加したのは「商家の暮らしコース」。
小林家の「守りびと」による丁寧なガイドを聞きながら、邸宅内を順番にまわります。
時代背景の解説から、蔵元ならではの暮らしやちょっとした小話を話してくださり、
たいへんためになる時間でした。
今回のブログでは、写真撮影OKのものをご紹介。
こちらは酒器が展示されている客間です。
盃にはおもしろい形のものがたくさんあるんですね。
天狗やひょっとこ、表情がみんな愛らしい。
お酒を注ぐとうぐいすの鳴き声が響く「うぐいすとっくり」や、お酒を飲むと鳴き声が鳴る「うぐいす盃」なるものをはじめて見ました。
笛の原理で、うまい具合に穴が開けられているようです。
なんて雅なんでしょう。日本人の遊び心に恐れ入りました。
それにしても、どうしてわたしたち若者はこんなにおもしろい文化を知らないのか・・・
奥が深いよお酒の世界。
そして、重箱にあしらわれている象嵌装飾のなんて美しいこと!
飾り格子から差し込んだ光が、ちょうどいい塩梅に貝を照らしていました。
和ろうそくの、凛とした佇まいにも惚れてしまいます。
華やかな茶器。品のある色合いが目を引きます。
ガイドツアーが終わると、
いろりを囲んでお茶と甘酒、和三盆の干菓子をいただきます。
甘酒は噂に聞いていた通り、どろっと濃くて、とっても甘くて飲みごたえがありました。
そしてかわいいのがこの干菓子! 見ているだけでしあわせになれる、このお顔。
甘酒も干菓子もお土産として販売しているので、どれだけ買うか悩ましいところです。
今度また伺いたいと思っているので、本日はここまで。
後日「小林家」レポの後編をお送りします。
それではまた。
クリエイティブステイ初日!人形作家の前川です
はじめまして!
わたくし、人形作家の前川と申します。
札幌の森の奥でひっそりと活動しているため、まずはプロフィールを紹介します。
プロフィール
名前: 前川 莉菜
屋号:Rinadoll
出身:札幌市
経歴:札幌市立大学大学院に在学中、学業とはまったく関係ないが人形づくりを始める。
わたしが作っているのは「球体関節人形」という、手足を動かして好きなポーズにすることができ、かつ「ビスクドール」というセラミック(陶磁器)でつくられた人形です。
人形との出会いは割愛しますが・・・
幼少期からものづくりが好きで、華やかなドレスにも興味がありました。
いま完成しているのは1体だけですが、この子のお洋服を何着もつくり、お花畑など素敵な写真を撮影できるところをもとめ、道内はもちろん東京・神奈川・埼玉など各地を回りさまざまな写真作品を制作しています。
たとえばこんな写真。
▼もっと見てみたいという方は、ぜひインスタグラムをチェックしてみてくださいね。
Instagramアカウント:@rinadoll_jasmine
クリエイティブステイでは、何やるの?
わたしは人形のほかにも洋裁や手芸、アクセサリーづくりなどさまざまなものづくりをしているため、本格的に販売がしてみたい!と常日頃から思っていました。
そして、最近《 人形服飾制作 Rinadoll 》というブランドを立ち上げました。
とはいえ、まだ写真を生かした商品ができていません。
そこで、今回クリエイティブステイを通じて、UVプリンターを活用したトートバッグなどのグッズ制作などをしたいと思っています。
▼商品イメージ
ものづくりするには、まず工房でレクチャーを受ける
栗山町の「あさひ工房」には、「レーザー加工機」「UVプリンター」をはじめとする工作機械が数多くあります。
わたしはこの2つを使おうと思っているので、今日は役場の方に使い方をレクチャーしていただきました。
UVプリンターでは、紙以外の素材にも特殊なインクを使って印刷することができます。
インクがぷくっと盛り上がるので、すりすりしたくなる質感に。
レーザー加工機は「切断」「彫刻」2つの加工ができるすぐれもの。
サンプルはこんな感じです。
アクリル板を栗のかたちにくり抜いて、 「栗山太郎」と彫刻しています。
彫刻面は、すりガラスのようで素敵ですよね。
裏面にはUVプリンターで蝶々の絵を印刷しています。
レーザー加工機とUVプリンターの加工を組み合わせると、いろいろな表現ができる予感!
しかし、UVプリンターは「いかに印刷面を平滑にするか(*」にかかっていると知り、初日から思わぬハードルに出くわすわけですが・・・
*印刷したい布や木の表面がデコボコしているとうまくインクが乗らないようです…
何とか攻略して印刷する!!絶対にバッグを作る!!と意気込んでおります。
おまけ
工房の棚にぎゅうぎゅうに並べられている木材たち…
過去に施設を使用されていた方からの「プレゼント」らしいのですが、一枚板や無垢材もあり、なかなかのお宝の山と見ました。
この木を使ったらこんなのができるな、あんなのもできるな・・・
バッグをつくるはずが、他にもあれこれとアイディアが浮かんできます。もし滞在中に時間があれば、お試し加工もしてみようと思います。
長くなりましたが、
わたしのレポートを通じて、ものづくりのおもしろさや栗山町でできることの幅広さを知っていただけたら幸いです。
もちろん、観光情報や甘いもの(甘味だいすき!)の情報もお届けします。
短い間ですが、お付き合いよろしくお願いいたします!